場面緘黙症の女の子の七五三撮影@大田区*

こんにちは。CuiCuiフォトグラファーの沼山かおりです*

今日、ジョン・アーヴィングの『ホテル・ニューハンプシャー』を読了しました。

 

皆さまは「自分を構成する本5冊」を選ぶとしたら、何をあげますか?

私は、

司馬遼太郎『燃えよ剣』

カート・ヴォネガット『スローターハウス5』

安部公房『砂の女』

町田康『告白』

の4冊と、今回読み終えた『ホテル・ニューハンプシャー』がランクインしての5冊ですかね。

 

『ホテル・ニューハンプシャー』の素晴らしさを言語化したいと思うのですが、難しい。

村上春樹さんくらい頭良くないと出来ないんじゃないか。

 

しかし、私が何とか表現するとしたら、

「悲劇がほとんどユーモアで表現されており、まるで『ドリフ』の創り上げられたコントをみてるみたいだし、実際笑える。」

という感じでしょうか。

 

産後、本を読む時間が本当に無くなってしまいましたが、

それでも何とか月に3冊くらいは読みたいと、

SNSを見る時間を意識してカット、撮影現場までの往復を読書の時間にあてる様にしています。

ガチッとハマる本と出会えた時の快感って本当いいですよね。

さて、今日は秋の七五三撮影では最初のお写真の紹介をします。(春に撮った七五三はこちらこちら。)

普段は神社へ出張するスタイルで撮る事が多いのですが、今回は古民家カフェを借りての前撮り。

神社へのお詣り撮影ではなく、古民家カフェを貸し切ったのには少し理由がありました。

皆さま、『場面緘黙症』というものをご存知ですか?

サイト内の言葉をお借りすると、

緘黙症(かんもくしょう)とは、発声器官には問題がなく、言葉を理解したり、言語能力があると分かっている人が、ある特定の場面や状況で話すことができなくなってしまう精神疾患です。

との事です。

 

私が仕事でお世話になっており、友人でもある「みらいの学校」代表のたかちゃんの末娘さんがこの場面緘黙症であり、私も彼女に出会って初めて知りました。

たかちゃん自身が記事を書いていますので、ぜひ読んでみて下さい。

 

保育園や学校で「おはよう」と挨拶しても、挨拶を返さない、目も合わせない子がいた時に、

「もしかたら場面緘黙症かな?」とこちらが思う事や、適切なリアクションをとる事で、

もしそうだった場合、本人や家族の精神的な負担はかなり軽減されるのではないかと思うのです。

本人に「ちゃんと挨拶しなさい!」としつこく諭す事が最も良くないし、

「躾のなってない親だ。」と勘違いされる事もキツいと思います。

 

彼女には、たかちゃんとの仕事の際に何度か会っているし、

その際は、チラッと目を合わせてくれたり、ママを介してお返事してくれたりと、

「少しシャイでママが大好きな甘えん坊の可愛い子」という様な印象。

実際お家ではとってもよく笑いお喋りするとの事です。

しかし、「着物を着て、ママ以外の人間が写真を撮る」という事のハードルはとても高いと予想されます。

なので、ご親族だけで個室を貸し切りにして、

たかちゃんの妹さんの娘さんたちの撮影に便乗という形で隠し撮り的に撮ろう!という事になったのです。

日本人形の様に可愛い彼女。

私という他人が入ってる事もあったと思いますが、

ご親族でも、たくさん人がいた為か最初から少し固くなっていました。

こっそり彼女を狙う私。

 

私は今回どう撮ればいいかなと悩むと同時に、あまり深く考えるのもやめようと思っていました。

たかちゃんは自身のブログで、

「うちの末娘の場合は、七五三の写真を撮りたいと思うのは完全なる親のエゴ。」

と言い切っており、

私も、なるべく彼女に嫌な想いをさせたくないと思うと同時に、

親御さんがどうしても写真を残したいという気持ちも分かるし、

エゴでも何でも撮っておいた写真が後々どれほどの宝物になるかは良く分かってるつもりですし、

何より撮る為に呼ばれたカメラマンなので、

当日の彼女の様子とたかちゃんの判断に身を任せようと。

集合写真を撮ろうとう段になって、ご親族だけと言っても彼女には負担が大きく、

泣いて部屋の外に出てしまいました。

たかちゃんのお姉ちゃんが気持ちを立て直す為に色々お喋りしてくれています。

2人はとっても仲良しな様子!

「すみっこ暮らし」の話をしていました♡

 

普段はお子様を笑かす事も、泣いてしまった時の気持ちの立て直しの「きっかけ」なども

カメラマンとして私がする事が多いですが、

この日に私ができる事はオールナッシング。

「私子供の扱いには自信あるんで」みたいにグイグイ来られたら本当嫌だろうなと思うので、

そっと距離を取りました。

 

場面緘黙は、「他を排除している、受け入れない」というのとは違って

受け入れたいけど、心と身体が思う様に動いてくれない、

というもどかしさがあるのではないかと、私が見知った限りではそんなイメージ。

それならば、単純に排除するよりももっと複雑で、

それを小さな子供が一人で処理する事は出来ないと思うし、

今回彼女の七五三写真を撮るという場においては、

彼女の周りでそれを理解していない人間が一人もいないという環境がやっぱりベストなのだろうな思いました。

気分を変えてお庭に出てみたりしました。

て言うか、当日言い忘れたけど、たかちゃんお着物姿綺麗よ!

切れ長な顔立ちの美人なので和装が似合うわ。

 

このパパママと一緒にいる機に乗じて、おじいちゃんおばあちゃん達と一緒に撮れないか!などど試みましたが・・・

やっぱり泣いてしまって、皆んなと離れてママと2人に。

たかちゃんも決して彼女には無理をさせなかったし、

私も粘ろうとするカメラマン根性みたいのをこの日は最小限に留めました。

写真も撮らなくてはいけないけれど、彼女の中で七五三の思い出が苦痛になる領域には踏み込みたくないなと。う〜ん、この判断は色々難しいですけどね。

赤ちゃんの場合は、泣いてる顔も可愛いし、バシバシ撮るべきだけど、

彼女は7歳の女性ですので、その辺も単純ではないはず。

でも私はこの写真がとても気に入っています。

もしママが撮ってたら、彼女の最高の笑顔も残せたのだろうなと思いますし、

もっと事前に彼女なりのベストを撮る為にできる事もあったのではないかと思ったりもしましたが、

私が撮る事で、ママはカメラを持たずにずっと彼女の手を握ってあげられるし、

この写真を彼女がもっと大きくなって見た時に、

ママがどれだけ寄り添ってくれていたのかが伝わるのではないかなと思ったのです。

 

自分が納品した写真は、お客様が満足してくれなければ意味がないのですが、

その前にやはり自分が満足、納得している必要があって、

今回はこれまでで一番「どうなるかな??」という撮影でしたが、

仕上がった写真を見たら「いや〜、可愛いわ〜♡」とやはり愛しちゃいました。

最後に家族だけのショットは撮りたい!と帰る車の用意もしてる中お願いして撮った写真です。

撮影した後にお兄ちゃんが、

「顔向けてただけでも奇跡じゃない?!」って言ってた、他人が撮った家族のきっちり写真。

そうか、そうだよね、顔を背けたり、ママにうずめたりせずに撮らせてくれた(涙)

本当にありがとう!!とってもとっても可愛い七五三だったよ!

 

そしてそして、この写真がたかちゃん家族にどう受け入れられたのか。

たかちゃんがブログで綴ってくれました!!

で、ですね、このブログの中に書いてあるのですが、

なんと、彼女本人が楽しい思い出だったと!!写真も喜んでくれたと!!!

そしてそして、なんと、詩までつくってくれたのです!(彼女は日頃から天才的な詩を書きます。)

『七五三』

七五三はたのしい

着物を着て
写真を撮る

家族で撮ったり
ひとりで撮ったり
七五三はすっごく楽しい

七五三はたのしい

七歳と五歳と三歳しか
着物が着れない

だから写真を

いっぱい撮っておこう

 

この超絶可愛い詩を読んで、私はリアルに涙ポロリしました〜〜〜!!

は〜〜、良かった。

私もとっても楽しかったよ。

 

さて、最後にたかちゃんは先ほどのブログで綴ってもいる様に、

NPO法人日本ホームスクール支援協会の理事も務めておりまして、

末娘の彼女も学校に通っていないのでホームスクールという形で勉強しています。

このブログの読者ママにはもう少し先の事かと思いますが、

新しいワード『ホームスクール』、気になる方はぜひたかちゃんのブログチェックしてみて下さい!

そして彼女が運営する、生徒と先生を個人間でマッチングするサイト「みらいの学校」もお見知りおきを。

何人かの先生の撮影も私が担当しております。

そしてたかちゃんの妹さんの娘さん達の可愛い写真もInstagramにあげていますので、

よければご覧下さい〜*